企業の名前を検索したときに表示されるネガティブな情報。それを対処するために注目されるのが「逆SEO」や「風評被害対策」というキーワードです。どちらも評判管理に関わる言葉ですが、具体的な意味やアプローチ方法には違いがあります。本記事では、逆SEOと風評被害対策がそれぞれどのようなものかをわかりやすく解説しながら、目的・方法・効果の違いを比較し、状況に応じた適切な選び方のヒントをお伝えします。
逆SEOとは?検索結果の順位で印象を変える情報戦略
逆SEOとは、企業名やサービス名などを検索した際に表示されるネガティブな情報を、検索結果の下位へと押し下げる施策です。削除が難しい掲示板や口コミサイトの悪評に対し、直接消すのではなくポジティブな情報で“埋める”ことで目立たなくさせるのが特徴です。
基本的なアプローチは以下の通りです:
- 企業公式サイトやブログ、採用ページなどの強化
- メディア掲載やプレスリリースの活用
- 新たな関連サイトや第三者による紹介記事の作成
- SEO対策を施した記事や動画コンテンツの上位表示
Googleなどの検索エンジンは、ユーザーにとって有益な情報を上位表示する仕組みを持っているため、それを逆手に取り、企業側にとって都合の良い情報を検索上位に持っていくのが逆SEOです。
重要なのは、これは不正な操作ではなく、Googleのルール内で行う正当な施策であること。つまり、悪質なリンクを貼るようなブラックハットSEOではなく、検索エンジンに評価される高品質な情報発信が鍵となります。
逆SEOは「検索結果から消す」のではなく、「検索結果の印象を変える」ための情報戦略であり、検索されることが前提の時代において、企業イメージを守る実務的な武器といえるでしょう。
風評被害対策とは?誹謗中傷や悪評に向き合う総合対応
一方で、風評被害対策はより広義な概念であり、「ネット上またはオフラインで広がった企業に対する悪評・誤解・中傷などを軽減または是正するための取り組み全般」を指します。つまり、**逆SEOを含めた“すべての reputational risk に対応するための包括的な対策”**という位置づけになります。
主な施策には以下のようなものがあります:
- 弁護士を通じた投稿削除請求・発信者特定
- Googleマップや口コミサイトへの適切な返信・管理
- SNSでの炎上対応マニュアル整備
- 社内の危機管理・ガバナンス体制の強化
- ネガティブ記事への抗議や修正交渉
- サジェスト・関連キーワードの風評除去対策
風評被害対策は、「法律的な対応」+「技術的な対応」+「広報・情報発信対応」など、多面的かつ柔軟なアプローチが必要となる分野です。そのため、対策を外注する場合も、逆SEO専門ではなく風評対策全般に精通した業者や法律事務所との連携が求められます。
また、誤解されがちですが、風評対策は単に“悪評を消す”ためだけではなく、「企業としてどう向き合い、信頼を再構築するか」も含まれるため、社会的信用を回復・維持するための危機管理活動と捉えるのが正しい理解です。
アプローチ・目的・費用面から見る両者の違いとは
逆SEOと風評被害対策は、どちらも「悪評への対応」を目的としていますが、そのアプローチや目的、費用感には明確な違いがあります。以下に主な相違点を比較して整理してみましょう。
比較項目 | 逆SEO | 風評被害対策 |
目的 | ネガティブ記事を検索結果下位に下げる | 誹謗中傷の抑制・削除・印象改善全般 |
対象 | 検索エンジンの結果(Google等) | 掲示板・SNS・口コミ・Googleマップなど広範囲 |
手法 | コンテンツ制作・SEO対策 | 削除請求・弁護士対応・広報戦略など多様 |
費用相場 | 月額10〜50万円程度 | 単発10万円〜数百万円まで幅広い |
対応スピード | 数週間〜数ヶ月で徐々に順位変化 | 削除は即時性あり/再炎上防止策は継続的 |
効果の性質 | 相対的に“見えなくする” | 根本的に“解決する”ことを目指す |
このように、逆SEOは“検索という限定的な場面”において強い力を発揮しますが、風評被害対策はもっと広い視野で「企業の評価そのもの」に関わる取り組みだと言えます。
それぞれの施策は対立するものではなく、補完関係にあるというのが実情です。たとえば、削除できない口コミサイトの記事には逆SEOで対応し、名誉毀損に該当する投稿には削除請求を行うという“使い分け”が重要になります。
自社に合うのはどっち?選び方と併用時のポイント
では、企業はどのように「逆SEO」または「風評被害対策」を選べばよいのでしょうか。その判断基準は、現在の被害状況・削除の可能性・企業のリソースによって変わります。
【逆SEOが向いているケース】
- 削除が難しいサイト(例:5ch、爆サイ、転職口コミなど)の対策が必要
- 長期的に検索印象を改善したい
- ブランディングと風評対策を同時に進めたい
- ポジティブな情報発信が可能(サイトや実績を持っている)
【風評被害対策が向いているケース】
- 法的に問題のある投稿がされている(名誉毀損、業務妨害など)
- 炎上や拡散リスクが高い内容がある
- SNS、口コミ、Googleマップなど複数媒体で攻撃を受けている
- 危機管理や広報体制の見直しを行いたい
併用する場合は、**“削除できない投稿には逆SEOで対応し、法的措置や広報戦略で再発防止を図る”**という形が理想です。その際は、窓口が分散しないように、逆SEOと風評対策の両方を扱える一括支援型の業者に依頼するとスムーズです。
また、社内での「対応マニュアル整備」「検索結果の定期モニタリング」「ネガティブな口コミに対する返信ルールの策定」なども含めて、平時からの備えとして体制をつくっておくことが最善の対策になります。
まとめ
逆SEOと風評被害対策は、どちらも企業の信頼とブランドを守るための重要な施策ですが、それぞれに明確な役割とアプローチの違いがあります。逆SEOは検索結果に特化した“見せ方のコントロール”であり、風評対策は“誹謗中傷や拡散の根本的解決”を目的とした包括的な対応です。被害の種類や規模に応じて、どちらか一方、または両方をうまく使い分けることが、ネット時代のリスクマネジメントにおける賢い選択といえるでしょう。